小児用肺炎球菌ワクチン(バクニュバンス)
肺炎球菌は子どもののどや鼻についている身近な細菌です。普段はおとなしくしていますが、子どもの体力や抵抗力が落ちた時などに、いつもは菌がいないところに入り込んで、下記のような感染症を起こします。
1)細菌性髄膜炎
脳や脊髄をおおっている髄膜に菌が侵入して起こります。
日本では毎年約200人の子どもがこの病気にかかり、そのうち70人位が命をおとしたり重い障害が残ったりしています。
2)肺炎
この細菌による肺炎は症状が重く、多くの場合入院が必要になります。
3)中耳炎
肺炎球菌による中耳炎は治りにくく、何度も繰り返す傾向があります。
4)菌血症
血液の中にこの細菌が紛れ込んで起こります。その結果敗血症というさらに重症な病気にかかることがあります。
この肺炎球菌による感染症を予防するワクチンが「プレベナー」です。現在世界の約100カ国で接種されており、アメリカはじめ43カ国では定期接種となっています。定期接種している国では肺炎球菌による重い感染症が98%減少しました。
我が国では平成25年4月1日より定期接種に組み込まれました。
令和6年4月より新しく「バクニュバンス」という名前のワクチンが使用できるようになりました。
接種回数、接種時期等はプレベナーと同様です。料金も定期接種の為無料です。
プレベナーとバクニュバンスは、安全性、免疫原性、ワクチンカバー率において大きな違いがな く、ほぼ同等とされます。 ただし、バクニュバンスはプレベナーよりも血清型を 2 種類多く含む 分、より多くの型による感染を予防します。
プレベナー接種中の方でも途中から変更できます。
接種する時期
生後2ヶ月以上5才の誕生日の前日まで接種できますが、肺炎球菌による髄膜炎の多くは0才代でかかりますので、できるだけ早い時期に接種することをお勧めします。
接種回数
初回の接種を行った年令により、以下のように接種回数がことなります。
生後2ヵ月〜7ヶ月未満(この時期の接種をお勧めします)
初回接種として生後6カ月までに27日以上の間隔をおいて計3回接種します。
追加接種は1才の誕生日を過ぎたら行います。
この時期に開始しても2回目、3回目の接種が遅れると、2回目や3回目を省略して追加接種することがあります。
生後7ヵ月〜11ヶ月で接種開始
初回接種として、27日以上の間隔をおいて計2回接種します。2回目は1才1ヶ月までに完了してください。
追加接種は2回目の接種から60日以上あけ、かつ1才の誕生日を過ぎた時期に1回接種します。
2回目の接種が遅れると、2回目を省略して追加接種を行います。
1才〜2才未満で接種開始
1回接種後、60日間以上の間隔をおいて2回目を接種する。
2才〜4才で接種開始
その時に1回のみ接種。
(注意)初めての接種が1才未満の場合、上述のように1才までに2回又は3回の接種が必要です。しかし、都合でその回数を完了しない内に1才になってしまった場合、接種出来なかった分は省略し、1才以降に追加接種を1回行って完了となります。
料金
定期接種のため無料です。
なお、小児用肺炎球菌ワクチンは不活化ワクチンのため、このワクチンを接種した後1週間(中6日)あければ他のワクチンを受けることができます。
★★ 院長より一言 ★★
ヒブによる髄膜炎より頻度は少ないですが、肺炎球菌による髄膜炎の方がより重症化しやすい、と言われています。