小川小児科内科医院

小川小児科内科医院

静岡県富士市中野569-4  TEL 0545-36-0321

当院職員と、そのお子さん

MRワクチン(麻しん風しんワクチン)

(1)麻しんとは、どのような病気か?

 麻しんは「はしか」ともいわれている病気です。麻しんウイルスによる感染症で、感染力が強く時に命にかかわる合併症を起こす怖い病気です。現在のように医学が発達していなかった頃は「命試し」と言われました。幼児期にほとんどの子供が感染し、体力のない子供の多くが亡くなってしまったためです。

 麻しんの症状はどのようなものか?

 感染後10〜12日の潜伏期の後、咳、鼻水、熱、目やになどの風邪症状が出ます。3〜4日すると口の中の粘膜(奥歯付近)にコプリック斑と呼ばれる白い斑点が出現し、診断が確定します。その後、特有の発疹が顔面から体の下の方に向かって徐々に広がり、3〜4日後には薄れて発疹部分が黒ずんだ色素沈着となります。色素沈着が出始めるとようやく病気も終盤ですが、この間高熱が約一週間続きます。
 麻しんウイルスに感染すると免疫機能が低下するため、他の感染症を合併しやすくなります。肺炎や中耳炎が多くみられますが、重症の脳炎の合併も1000〜2000人に1人起こります。麻しん脳炎が合併した場合15%は死亡し、20〜40%に重症な後遺症が残ります。また、5万人に1人の割で亜急性硬化性全脳炎(SSPE)という合併症を起こします。

(2)風しんとは、どのような病気か?

 風しんウイルスによる感染症です。「三日ばしか」ともいわれますが、はしか(麻しん)とは全く別な病気です。この病気で怖いのは、妊娠初期の女性が感染した場合胎児に重症な障害が出ることです。

 風しんの症状はどのようなものか?

 春先〜初夏に流行しやすい病気で、2〜3週間の潜伏期ののち、発熱、首や耳介の後ろのリンパ節の腫れ、体に細かく淡い発疹が出ます。3〜4日で発疹も薄れて治ります。病気としては麻しんに較べ、はるかに軽症ですが合併症が問題になります。
その合併症ですが、脳炎が6000人に1人、血小板減少症紫斑病が3000人に1人起こります。最大の問題は、妊娠初期の女性が感染すると、死産や流産のほか、先天性風しん症候群(心臓病、難聴、白内障、精神運動発達遅滞)の赤ちゃんが生まれる可能性があることです。これを予防できるのはワクチン接種だけです。

 標準的な予防接種スケジュール

 麻しんと風しんの混合ワクチン(MRワクチン)を接種します。
生ワクチンのため、次のワクチン接種は27日あけて、4週間後からになります。
下記の期間内に接種すれば定期接種として無料で行えます。

第1期
 生後12ヵ月〜24ヵ月未満
 満1才の誕生日になったら、なるべく早く受けましょう。
第2期
 小学校入学前の1年間(幼稚園や保育園の年長児)

(任意接種)1才以上であれば、いつでも任意接種(自費での接種)が可能です。ただし、妊娠中の女性は接種できません。また、妊娠可能な女性の場合は、あらかじめ1ヵ月避妊した後で接種し、接種後2ヵ月間は避妊を続けてください。

 成人の接種に対する行政の補助

平成26年3月末まで、富士市より接種に対する補助がでます。詳しくはこちらをご覧ください。

★★ 院長より一言 ★★

1.95%以上の人が免疫を得ることができます。
2.いつもどおりの生活をしましょう。入浴もさしつかえありません。
3.注射部位が赤くなったり、痛んだり、少し熱をもつことがありますが、いずれも2〜3日で消えます。
4.接種1週後ごろから38.0℃前後の熱が出ることがありますが、熱のわりには元気で、2〜3日で下がります。
5.発熱した人には発疹がパラパラと出ることがありますが、2〜3日で消えます。
6.熱性けいれんをおこしたことがある人は、熱を測り、発熱すればジアゼパム坐薬(けいれん予防の薬)を使うなど、主治医からの指示にしたがいましょう。

熱やポツポツが出ることがあります。はしかにかるくかかったわけで、免疫がちゃんとついた、というしるしだと思ってください。(他の人への感染の危険はありません)

小学校入学前の1年間にもう一度(MR第2期)を受けてください。
ほかの予防接種は4週たてば受けられます。


MRワクチンは当院では予約なしで、毎日接種可能です。